2017/03/27

アンコール・トム見どころまとめ-観世音菩薩四面塔と生活感あふれるレリーフが特徴のバイヨンほか

カンボジアアンコール・トム。実際に見ると、バイヨンはパンフレットなどで想像する以上に観世音菩薩の顔がいっぱいです。レリーフについては、当時の生活が垣間見られるものがあって、興味深いです。

主な見どころについてまとめてみます。

・アンコール・トムの全体像
アンコール・トム(大きな町の意)は王都として、アンコール・ワットよりも半世紀ぐらいあとに、ジャヤヴァルマン7世によりつくられました。遺跡群は一辺3km強の城壁に囲まれ、その中にバイヨンを含む見どころがあります。

アンコール・ワットがヒンズー教の影響を受けているのに対し、トムは大乗仏教の影響を大きく受けています。

・南大門
アンコール・トムを囲む城壁には5つの門(南大門・北大門・西大門・勝利の門・死者の門)がありますが、この南大門が最もよく修復されています。
南大門の手前にはお堀があり、そこに橋が架かっています。興味深いのは、橋の欄干にあたるものは、実はナーガ(蛇神)の胴体で、それを阿修羅像が引っ張っているデザインになっていることです。

写真の反対側(西側)は、神々の像がナーガの胴体を引っ張っています。これらは天地創造の神話「乳海撹拌」の一部を表したものです。

南大門の塔は、実は巨大な四面菩薩像になっていて、それぞれの顔が東西南北を向いています。ここをくぐると城壁内に入ります。

・バイヨンの全体像とレリーフ
バイヨン寺院は、アンコール・トム全体のちょうど真ん中に位置します。バイヨンの全体像は、ちょっともこもこした複雑な形に見えますね、。
バイヨンの見どころの一つが、レリーフ(浮き彫り)。
第一回廊(南面)は東西約160m南北約140mあり、天井は崩壊して無くなっていますが、第一回廊の壁は高く、上・中・下に分かれて異なるレリーフがあります。

写真はトンレサップ湖での戦闘のレリーフです。
この写真の左下には、出産シーンが彫られています。
アンコール・ワットのレリーフは叙事詩の戦いシーンが多いのですが、トムではこのように、庶民の日常生活のレリーフも多くあります。

こちらは商売の様子を表し、量り売りする中国人の商人と客のレリーフです。
船から漁をするため、網(中央)を投げている様子。網の右にカメが、左にワニがいます。
第二回廊は屋根が残っているところがあり、当時の様子が少し分かりますね。ビシュヌ神と、神に捧げものをする人々のレリーフなどがあります。

・バイヨンの観世音菩薩像
第二回廊を通り抜けると、このような観世音菩薩像の四面塔があちこちに見られます。
バイヨンの尖塔が、遠くからみると変わった形に見えたのは、実は四面が菩薩像の顔になっているためだったんです。塔の数はなんと49もあり、南大門を含む5つの塔門をあわせると54あります。

よく見ると表情が違うのですが、これは目を開けているもので、200R紙幣にも載っています。
観世音菩薩像に囲まれた中を歩いていると、別世界に迷い込んだような不思議な感覚にとらわれます。

テバター像や開口部が残っているところもあります。
バイヨンは屋根がないので、日除け対策、飲み物など準備をしっかりとしてくださいね。

・象のテラス

象のテラスは、上にあがると周囲が見渡せ、遊歩道のように長く続きます。
約350mもあります。横から見ると、壁面に象が彫られています(写真中央にあるのは象の鼻)。
これに続く王のテラスと呼ばれている部分では、ガルーダ(神鳥)とガジャシンハ(ゾウの鼻を持つ獅子)が彫られています。

写真は3つの頭をもつ象。鼻で草花をからませています。

・ライ王のテラス
テラスの高さは約6mあり、外壁にはびっしりとレリーフが彫られています。
ここのテラスにあるライ王像は、残念ながらレプリカで、本物はプノンペンの国立博物館にあります。
このテラスの内壁と外壁の間にある通路からは、もとの壁画をみることができます。

・バプーオン
クメール王が自分の息子を守るため、この寺に隠したと言われています。当時は中央に塔があったと言われていますが、倒壊してしまいました。これまで長い間修復されていたのですが、2017年3月現在、修復が完了したそうです。

アンコール・トム城壁内は結構広い(南大門~バイヨンまで約1.4km)ので、遺跡内をめぐっている電気自動車を利用して、効率よく移動されるとよいかと思います。
南大門から入る場合は、門をくぐる前、神々と阿修羅像よりも手前の、みやげ物屋の並び始める辺りに乗り場があります。バイヨンの東門入り口近くにも乗り場があります。

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